出来るだけ普段の生活に近いかたちでリラックスして過ごせるように、
様子を見ながら一日も早く慣れてもらうことが、シッターとしての最初の課題です。
徐々に警戒モードが解けて、少しずつ心を開いてくれる様子を見守ることが出来るのは
わたしにとって醍醐味のひとつになっています。
白くつ下を履いた茶トラの「カイ」君(雄/6歳)と、
美しい毛並みのサビ猫「マロン」ちゃん(雌/5歳)。
先日、バンコクでは初めてのお留守番を経験しました。
打ち合わせでお伺いした際には、ゆったり落ち着いた様子で
特等席に座っていた「イジられたがりの」マロンちゃんと、
貫禄のある立派な体格とは裏腹に体が弱く、
お部屋の隅でブルブル怯えていた「ビビリの」カイ君。
飼い主さまに抱っこされたカイ君をそっと撫でると、
全身カチコチになっていました。
玄関で出迎えてくれたカイ君。いつの間にか寝室の隅っこに隠れて、
シッターが近付くとキッと睨み、「ウゥゥ〜」と勇ましく唸って近寄せません。
翌日には追い詰められた気分になったのか、
バスルームの薄暗い隅の方へ隠れたっきり、姿を見せませんでした。
一方のマロンちゃんは、撫でられるとすっかりご機嫌になり、
日を重ねるうちに随分と慣れて「ミャ〜ォ!」と鳴いて熱心にアピールしたり、
キッチンまでやって来てご飯の催促を するようになりました。
お留守番に変化の兆しがあったのが、4日目。
それまではとてもナーバスになっていたカイ君が、
シッターの目が届く場所でリラックスした様子を見せるようになり、
ご飯を食べたり、猫じゃらしで誘うと獲物を目で追って、
ついに戯れるようにまでなりました。
ご飯前のちょっと興奮した気分の時には、
喉をゴロゴロ床にごろにゃん♡までするようになったカイ君、
次のステップのブラッシングをすると、突然の「シャー!!」。
すかさずマロンちゃんが「カイ君、どうしたの?大丈夫!?」という具合に
飛んで来て、 機嫌を損ねてしまったカイ君を優しくフォローしています。
その後シッターとカイ君の間にグイグイと割って入り、
ご機嫌に「早くブラシを掛けて頂戴!」と催促するマロンちゃんと、
その近くで静かにコロンと横になっているカイ君に、
ペアの絶妙なバランス感覚を見たような気がしました。
「(お留守番に慣れて来て)心配が無くなると、
だんだん寂しくなってくる私達(笑)」とのご返信を頂きました。
他の飼い主さまの多くも、普段と変わりない様子に安心する反面、
「私がいなくても大丈夫なのね…」とちょっと複雑な心境に
陥ってしまうそうなのですが、ヒトの心、ネコ知らず。
カイ君&マロンちゃんは、無事に長いお留守番を乗り切り、
今ではご家族と一緒の穏やかな日常生活に戻っています。