2015/01/19

gone girl cat

via Cat from “Gone Girl”
 
タイでは昨年11月下旬に公開が終了(日本では現在公開中)した、デヴィッド・フィンチャー監督の『ゴーン・ガール』。映画館で見て「おお、凄い!」と大興奮だったのですが、早速路上で50バーツのDVD(笑)が売られていたので、見直してみました。 

誰から見ても理想的な夫婦に見える、ニックとエイミーのカップル。
NYから夫の田舎に引っ越し、5年目の結婚記念日に、妻エイミーが突然姿を消します。マスコミを通じてのエイミー探しに、ワイドショーやそれに群がる人々が騒ぎ立てて、全米の注目の的に。
最初のトーンはサスペンスかなと思いきや、結婚後の男女のすれ違いを描いたドラマ、そしてブラックなコメディーへと一転二転し、最後には「結婚」の深遠さを他人の物語を通して覗いたような気がして、大きな余韻の残る映画です。
見直してみると、細かい演出や伏線、抑えた音楽の素晴らしさなどもゆっくり味わう事が出来ました。

この夫婦のお宅には、茶トラの猫ちゃん(おっとりしたオス猫のようです)がいます。
エイミー失踪後のガランとした大きな家で、捜査に入る刑事達が寝室のドアを開けると、誰かを待っているかのように、ベットの上にぽつんと佇む猫ちゃん登場!
その後、夫ニックは双子の妹(バカな兄を見捨てずに最後までサポートする、格好良い女性でした)の家に身を寄せるのですが、騒がしいマスコミや野次馬が押し寄せる家に取り残された猫ちゃんに、ご飯は?誰がお世話するの??などと、キャットシッターとしてはそこが一番気になってしまいました。

失踪から数日後に家に戻ったニックは、すっかりその存在を忘れていたかのように猫ちゃんを抱き上げたり、椅子に座って膝の上に乗せ撫でてみたり、主人公が家の中に居るわずかなシーンにしか登場しないのですが、家庭の中で役割を「演じる」ことのない、唯一の無垢な存在としての猫ちゃんだったのでしょうか…
物語の終盤に、朝食のクレープを作るエイミーと、彼女に重なるようにキッチンカウンターの上にいる猫ちゃんの2ショットが一瞬だけありましたが、そこだけは不穏な雰囲気を醸し出す演出のようにも見えました。

男が女に抱く幻想を逆手に取る女のリベンジ、夫婦同士が役割を「演じて」いるというテーマなど、女性である私から見た視点と、家人が見終えて「レクター博士並みのサイコキャラだったねー」と言う男女間の解釈のズレ(笑)が一番面白かったです。

タイでは「夫の一物は、アヒルに食べさせろ」なる教訓?があると(実際に、嫉妬に狂った女性の猟奇事件を何度か耳にしたことがあります)タイ語の先生に聞いた事がありますが、タイ版のDVDのカバーを見て、大分前にフランス版ノーカットで見た大島渚監督の『愛のコリーダ』を思い出しました。「定吉ふたりきり」というかなりショッキングなシーンがあるのですが、やはり画像を見比べて見ると、男女の並びは逆ですが構図が同じなので、映画のテーマは違えども、もしかすると意図したところだったのかも知れません......

可愛い茶トラの猫ちゃんチェックもポイントですが、
パートナーと一緒に見ると面白い(男性にとってはホラー?)映画としておススメです。


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『GONE GIRL』の子猫バージョン、『GONE PURRL』も登場していました......