バンコクはすっかり雨期モードになりました。
雨上がりには、暑さもぐっと和らいで、なんだかすっきりとした気分になります。
毎年この季節になると、『ヘーン・ナーン・メーオ(แห่นางแมว)』と呼ばれる、
タイ東北地方の伝統的な雨乞いの儀式のニュースを目にします。数年前に、
日本の新聞でも取り上げられたことがあるようなので、
ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。
『ヘーン・ナーン・メーオ』の伝統について、美しい影絵を使ったアニメーションで解説しています。
最後に流れるおじいさんの雨乞いの歌が、素朴な響きがあって好きです。
『ヘーン・ナーン・メーオ』の伝統について、美しい影絵を使ったアニメーションで解説しています。
最後に流れるおじいさんの雨乞いの歌が、素朴な響きがあって好きです。
タイの切手の中のコラート(95年発行) 数年前に再発された際に購入しました。 |
「滑らかな毛の先端は雲のごとく、付け根は銀のごとく、その瞳は蓮の葉においた露のように輝く」 (アユタヤ時代の古書『サムット・コイ(สมุดข่อย)』より)
私がコラート猫を知ったのは、作家・向田邦子さんの著作からです。『マミオ』と名付けられた向田さんの愛猫は、旅行で立ち寄ったバンコクで見初めた、雄のコラート(コラット)でした。
伝統的な雨乞いには、子供を産んだ事の無い雌のコラートが、行列の主役として選ばれていました。竹籠に入れた猫を御神輿のように担ぎ、水をバシャバシャと掛けながら通りを練り歩く儀式は、3日間に及びます。シルバーブルーの被毛が雨雲のような、その猫の鳴き声が、天に届いて雨を呼ぶ、と信じられてきたそうです。
恵みの雨への願いは、農家にとってはとても切実ですが、大事な役割を担う猫にはかなり過酷なこの儀式、近代化と共に伝統も廃れつつあるようです。由緒正しい原種のコラートも雑種化が進み、近年は飼い猫を提供するのを拒む家も多いとか。
先日は、ピチット県のとある村で、隣接する地区はは雨が降るにも関わらず、なぜかある地区だけ全く降らない為、堪り兼ねてこの儀式を執り行った、とのTVニュースを目にしました。飾り立てた華やかな行列ではなく、とても簡素なものでしたが、おそらく野良猫であると思われる痩せた猫が、針金の籠の中で大人しく観念している様子が映し出されていました。去年は水を掛けられて、ショック死してしまった猫もいたようです。
現代の動物愛護の観点からはアウトになりそうですが、タイではアユタヤ時代から幸福や繁栄をもたらす動物として、猫がとても大切にされてきた、ということがよく分かる儀式です。
現代の動物愛護の観点からはアウトになりそうですが、タイではアユタヤ時代から幸福や繁栄をもたらす動物として、猫がとても大切にされてきた、ということがよく分かる儀式です。
マハーサラカム大学芸術学部の学生による『ヘーン・ナーン・メーオ』の踊り。
洗練されています。
こちらはスリン県のとある小さな村。「雨よ降れ降れ〜、雨よ降れ〜♪」と歌い踊る、
女衆が元気です。子供が担いだ籠の中には本物のにゃんこが!!土臭い独特のグルーヴが
あって、楽しい動画です。