先月、リトルプレスroshinbooksから出版された写真集『Afterword』(深瀬昌久)が
日本から届いたのでご紹介します。
写真家の愛猫としてはアラーキーこと荒木経惟の「チロ」と並び評される、
70年代後半に出版された深瀬昌久の「サスケ」シリーズ。今では手に入り難く
なっていますが、この写真集は『サスケ!!愛しき猫よ』(1978年)に掲載された
後書きの写真原稿から構成されています。
前作『Wonderful days』での元妻・洋子とシャム猫カボと黒猫ヘボとの生活から、
離婚を経験し、子猫「サスケ」を迎え入れ、色々な場所へ連れまわして
撮影する様子が伺えます。
キジ白の子猫「初代サスケ」はやって来てから程無くして失踪、
その後捜索願いの張り紙を見て届けられたのは、なんとサスケとは別の子猫でした。
その猫は、そのまま「2代目サスケ」として溺愛され、エネルギーのかたまりのような
子猫時代から、大人に成長していく姿が捉えられています。
サスケの背景に映り込む雰囲気には、ノスタルジックな昭和の感じが漂っていますが、
普遍的な日常生活の中の猫の表情や仕草を切り取ったショットに、
自分の知る猫たちのことを重ね合わせながら、じっくりと楽しみました。
猫を撫でているような手触りのカバーに、ガシガシ噛んだような裁断が
小口に施されていて、装丁にまで猫愛が溢れている写真集です。
ちょっとだけ中身をお見せしますね。